ジーン・シャープ「独裁体制から民主主義へ」その4
第4回目は、「新たな独裁者を生まないために」で、永続する民主主義のための基礎作り、またシャープの戦略的非暴力闘争論の問題点と可能性についても考えています。この回のNHKの説明は、こちら(←外部リンク)から。
これまで民衆を抑圧する独裁体制を、いかにすれば非暴力で打倒することができるのか、具体的に見てきました。この4回目では、まず独裁体制が崩壊した後に関して、また新たな抑圧的な政権がが生まれかねず、何が必要か?について考察しています。
→ 憲法の制定、三権分立、地方分権、・・・などを進める必要がある。
よく引用される言葉に「自由はただではない (Freedom is Not Free)」(市民活動・軍に対する敬意を表す言葉)があるように、自由は犠牲の上に成り立っている、自由を得るためには努力やコストが必要であるため、それなりのことを行う必要がある。
理論の問題点・発展の可能性
シャープがこの本で読者に主に訴えたかったこと
(1)独裁体制からの解放は可能である
(2)それを達成するには、非常に慎重な考えと戦略計画が求められる
(3)警戒心と努力、鍛錬された闘争、特には大きな犠牲が必要である。
・この本は、ミャンマーの民主化運動を訴える雑誌のために書かれたもので、部分的に暴力の利用を認めており、理論的に矛盾しているようにも受け取ることができ、一貫して非暴力の方が良いのでは?。
・シャープ自身、アメリカ型の民主主義を信頼しており、民主主義的な手法であっても、強権的政権(例:トランプ大統領)を生み出す可能性もあり、問題ではないか?。この本では、この点は言及していない。
・このシャープの理論は、体制側も注目しており、さらなる理論の進化が求められている(イラン大統領選挙結果への抗議デモ(2009)→政治的柔術となりそうであったが、沈静化)。
・「Why Civil Resistance Works: The Strategic Logic of Nonviolent Conflict(未翻訳:なぜ市民的抵抗は機能するのか 非暴力闘争の戦略的ロジック)」、2011 によると、暴力と非暴力とでの闘争の勝率(1900年〜2006年まで):26%:53%で非暴力的闘争の方が勝率が高い(政府を打倒、領土を解放)。また、非暴力闘争であると、女性も参加でき、大規模となりやすいことにも言及している。
・1989年に冷戦の終結しているものの抑圧的な政権はなくならない・根絶できていない。シャープ理論はあくまで独裁政権の打倒についてであり、根絶とは異なる。この背景として、効率を重視した強力なリーダーシップが求められているからではないか?
【感想】
・コスタリカ:軍隊(常備軍、有事には徴兵制を行い軍を組織できる)を持たず、教育費等に充てている。日本は平和教育が進んでおり、途上国にあるようなやり方を先進国である日本がそのまま取り入れるのは、国際的な役割等から考えても、間違いであるとは思いますが、考え方は参考となります。現在の岸田内閣が本当にやりたい方向性は、自衛隊費の増額ではなく、外交力も活用したこっちの路線だと思いました。
・以前、次の中国に関する本を読みましたが、当時はよく理解できなかったが、点と点がつながったような気持ち。
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